瞬情08:永遠を渇望しながら拒絶する
2008.11/20/Thu 22:06:22
お題は、群青三メートル手前 様からお借りしています。
瞬情08:永遠を渇望しながら拒絶する
「……この度は、奥方様のご懐妊、おめでとうございます」
まるで、他人事のように、祝いの言葉は出た。
「お久しぶりです」 ―――――― そんな言葉の代わりに。
もし、口からその言葉が出ていたら、嫌味のように聞こえてしまうだろう。
実際、イザークの訪問を受けるのは、2ヶ月ぶりなのだから。
だから、しまいこむ。
優しい笑みと共に。
対して、イザークは不愉快そうに眉を潜めていた。
「何故、キラが知っている?」
「そうですね……誰というわけではなく、話されているのが耳に入りましたので」
「……そうか」
そう呟くイザークの声は怒気を含んでいるようだが、そうされる意味がわからない。
キラを見下ろす眼も、いつも以上に冷ややかさが増す。
まるで、高貴な蒼い宝石のようで、非現実的なキレイさだ。
「………キラは、…………みたいとは思わないのか?」
「え!?」
囁くように言われた言葉は、嘘のような内容だった。
―――――― キラは、俺の子供を産んでみたいと思わないのか?
問う眼差しは真剣そのもの。
だが、声の小ささから、よく聞こえなかったフリをした。
偶さかにとはいえ、抱かれているのだから、その可能性はある。
だが、キラは妊娠に、いつも怯えていた。
子供を産んだとはいえ、何の意味があるのだろう。
奥方が妊娠されて、無事に産まれたならば、キラから産まれた子供は一生、日陰の存在。
認知されようがされまいが、母の生まれによって、その将来さえ決まってしまうのなら、哀しくはないか。
無垢に、一生懸命に生きようとする子供に、産まれてくる母を選べないのだから。
決して、キラは母を恨んではいない。
己の生まれを卑下してもいない。
でも、己のような子供を、自身では産みたくはなかった。
幸せな結婚を夢見ていなかった。
ずっと、修道院に入るのだと思っていたから。
―――――― きっと、イザークにはわからないだろう。
―――――― 公爵の後継として、銀のスプーンを持って生まれたイザークには。
ソッと頬を触れられる。
そして、頬の輪郭をなぞられ、唇に触れる。
冷たい指先に、仄かに身体が震える。
優しい触れるだけの口付けが、降る。
それは始まりの合図 ―――――― イザークとの情事との。
―――――― 何故?
2ヶ月ぶりの訪れ。
嬉しいと言うより、驚きと困惑。
忘れられた、捨てられたと思っていたのに。
どうして、再び抱こうとするの。
偶には、違った女を抱きたくなったの。
捨てた愛人でも、抱こうかって気になったの。
それとも、愛のない行為からでも産まれてしまう子供が欲しいの。
疑問は一度として、口を出ない。
唇を同じモノで塞がれているからではない。
慣れきった身体は、些細な愛撫にでも反応してしまうから。
「……んっ………んっん、んぁっ………」
押し殺した喘ぎ声しか、口から出ない。
そんなキラの反応に気をよくしたのか、イザークは、当たり前のように、キラの身体を愛撫していく。
他の男を知った身体。
それでも、イザークに教え込まれた身体は、ハジメテの男をよく覚えている。
毎夜のように訪れた男とは違った、優しく熱く、そして激しい愛撫に、容易く開かれ、翻弄される。
「―――――― これは?」
イザークが触れたのは、紅い花が咲く場所。
勿論、イザークではなく、あの男の人がつけたモノ。
と、答えられる筈もなく、訊いてくるイザークをぼんやりと仰ぎ見る。
それだけで、何があったのかわかっただろうか。
キラを見下ろすイザークの瞳に、強い怒気が浮かんだ。
先程以上に、苛烈で冷たさを増して、まるで刃のようだと思った。
そして、紅い花をつけているキラを責めているようにも。
―――――― 何故、貴方にそんな眼で見られるのですか?
―――――― 貴方は私を捨てたのに。
ぼんやりとしてる間に、首に手をかけられていた。
瞬情08:永遠を渇望しながら拒絶する
「……この度は、奥方様のご懐妊、おめでとうございます」
まるで、他人事のように、祝いの言葉は出た。
「お久しぶりです」 ―――――― そんな言葉の代わりに。
もし、口からその言葉が出ていたら、嫌味のように聞こえてしまうだろう。
実際、イザークの訪問を受けるのは、2ヶ月ぶりなのだから。
だから、しまいこむ。
優しい笑みと共に。
対して、イザークは不愉快そうに眉を潜めていた。
「何故、キラが知っている?」
「そうですね……誰というわけではなく、話されているのが耳に入りましたので」
「……そうか」
そう呟くイザークの声は怒気を含んでいるようだが、そうされる意味がわからない。
キラを見下ろす眼も、いつも以上に冷ややかさが増す。
まるで、高貴な蒼い宝石のようで、非現実的なキレイさだ。
「………キラは、…………みたいとは思わないのか?」
「え!?」
囁くように言われた言葉は、嘘のような内容だった。
―――――― キラは、俺の子供を産んでみたいと思わないのか?
問う眼差しは真剣そのもの。
だが、声の小ささから、よく聞こえなかったフリをした。
偶さかにとはいえ、抱かれているのだから、その可能性はある。
だが、キラは妊娠に、いつも怯えていた。
子供を産んだとはいえ、何の意味があるのだろう。
奥方が妊娠されて、無事に産まれたならば、キラから産まれた子供は一生、日陰の存在。
認知されようがされまいが、母の生まれによって、その将来さえ決まってしまうのなら、哀しくはないか。
無垢に、一生懸命に生きようとする子供に、産まれてくる母を選べないのだから。
決して、キラは母を恨んではいない。
己の生まれを卑下してもいない。
でも、己のような子供を、自身では産みたくはなかった。
幸せな結婚を夢見ていなかった。
ずっと、修道院に入るのだと思っていたから。
―――――― きっと、イザークにはわからないだろう。
―――――― 公爵の後継として、銀のスプーンを持って生まれたイザークには。
ソッと頬を触れられる。
そして、頬の輪郭をなぞられ、唇に触れる。
冷たい指先に、仄かに身体が震える。
優しい触れるだけの口付けが、降る。
それは始まりの合図 ―――――― イザークとの情事との。
―――――― 何故?
2ヶ月ぶりの訪れ。
嬉しいと言うより、驚きと困惑。
忘れられた、捨てられたと思っていたのに。
どうして、再び抱こうとするの。
偶には、違った女を抱きたくなったの。
捨てた愛人でも、抱こうかって気になったの。
それとも、愛のない行為からでも産まれてしまう子供が欲しいの。
疑問は一度として、口を出ない。
唇を同じモノで塞がれているからではない。
慣れきった身体は、些細な愛撫にでも反応してしまうから。
「……んっ………んっん、んぁっ………」
押し殺した喘ぎ声しか、口から出ない。
そんなキラの反応に気をよくしたのか、イザークは、当たり前のように、キラの身体を愛撫していく。
他の男を知った身体。
それでも、イザークに教え込まれた身体は、ハジメテの男をよく覚えている。
毎夜のように訪れた男とは違った、優しく熱く、そして激しい愛撫に、容易く開かれ、翻弄される。
「―――――― これは?」
イザークが触れたのは、紅い花が咲く場所。
勿論、イザークではなく、あの男の人がつけたモノ。
と、答えられる筈もなく、訊いてくるイザークをぼんやりと仰ぎ見る。
それだけで、何があったのかわかっただろうか。
キラを見下ろすイザークの瞳に、強い怒気が浮かんだ。
先程以上に、苛烈で冷たさを増して、まるで刃のようだと思った。
そして、紅い花をつけているキラを責めているようにも。
―――――― 何故、貴方にそんな眼で見られるのですか?
―――――― 貴方は私を捨てたのに。
ぼんやりとしてる間に、首に手をかけられていた。
